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映画『ディスコネクト』の紹介

  • 執筆者の写真: MAX
    MAX
  • 2018年3月20日
  • 読了時間: 12分

久しぶりにブログの更新となります。

最近はMVの撮影やらドラマの撮影やらの仕事で忙しかったです。

そんなことはさておき、本題へと入ります。


今回ご紹介する映画は『ディスコネクト』という映画になります。

この映画は間違いなく名作です。

悪い評価の人は見たことないです、むしろいい評価ばっかりです。

なぜこのような映画が日本であまり話題にならなかったんだろうと疑問に思います。
















『ディスコネクト』とは

監督:ヘンリ=アレックス・ルビン(CM出身の監督)











他代表作:Who Is Henry Jaglom?(1997年) マーダーボール(2005年)

『ディスコネクト』以降は新作を出していないようです。

製作国:アメリカ

公開:2012年より(日本は2014年5月)

ディスコネクトの意味:(…の)接続を断つ、(…を)断ち切る、縁を切る など


簡単なあらすじ(※少しネタバレしてます)

この映画は、3つのストーリーが同時進行で進んでいき、それぞれにテーマがあります。


1つは、父(リッチ)と少年(ベン)、ベンの同級生(ジェイソン)とジェイソンの父(マイク)による親子愛の話。


リッチとベンは仲が悪いわけではないが、あまり会話が弾まない。ベンは学校でも友達がいない孤独な少年。そんなベンには好きなことが1つだけある。それは音楽を作ることだ。ベンは自分で作った曲をフェイスブックに載せてSNS仲間とやりとりをしているのが唯一の楽しみである。

ある時、ベンの同級生(ジェイソン)は友達とあるイタズラを仕掛ける。それは、SNSでジェシカという女性になりすまし、ベンの曲を褒め、そして女性の裸の写真を送りつけてベンの裸も送ってほしいとメッセージを送ることだ。ベンは、作った曲を褒められたことの嬉しさのあまり、彼女に惹かれていき、そして裸の写真を送ってしまう。

その裸の写真を学校中にメールでばら撒かれ、ベンはみんなから変態扱いをされてしまう。ベンは家族にその悩みを相談することができず、唯一の心のより所であるSNSで裏切りをされた悲しみに耐えきれず、自殺を図ろうとしてしまう。

なんとかベンは一命を取り留めるが、リッチだけは犯人探しに明け暮れる。

そしてついに犯人を見つけることができたが…。


2つめは、夫(デレック)と妻(シンディ)による夫婦愛の話。

デレックは会社勤めのサラリーマン。シンディは自宅からインターネットで販売をする仕事をしている。二人は、小さな子供がいたが、その子供は若くして命を落としてしまった。それをきっかけに夫婦の間には『隙間』が現れた。デレックはあまり関わってくれない、シンディはそんな寂しい気持ちを埋めるためにチャットを通じて知り合った人に相談をする。

ある時、シンディのパソコンからカードや個人情報が盗み出されてしまい、文無しとなってしまう。

ネット犯罪に詳しい元警察官のマイク(ジェイソンの父)に、二人は相談をして、犯人を見つけ出すことができた。

二人はこの男を白状させるために自宅へと行くが…。


3つめは、リポーター(ニーナ)と児童ポルノで働く青年(カイル)による話。(偽善の話?)

テレビ局に勤めているニーナは世に訴えたいことがある。それはネットを通じて児童ポルノで金を稼いでいるグループがあるということを。

ニーナは児童ポルノで働く青年たちはどんな心境でやっているのかを知るためにネットを通じてカイルと出会う。

ニーナはテレビ局のお偉いさんに児童ポルノについて報道してもらいたいが為、セックスをする(ある意味売春行為)。

こうしてニーナはテレビ局から許可が降り、カイルと接触をし取材をすることができた。

こうしてニーナは見事テレビで成功を収めることができる。

だが、この番組を見たFBIが犯人の居所を突き止めるためにニーナの元へとくる。

情報提供者であるカイルに居所は話さないと約束をした、だが児童ポルノは犯罪だ。

ニーナは葛藤をするがついに決断をする...。


3つのストーリーは共通として、最後にあることに気がつかされるお話となっています。


どんな人にオススメの映画?

どんな方にオススメかと言いますと、


・ソーシャルネットワークをやっている方

・子供がいる人(特に思春期の子供)

・妻または恋人がいる人

・世に何かを訴えかけたい人


に是非見ていただきたいです。

とはいってもほとんどの人に当てはまる感じがしますね 笑

結果的にこの映画は誰が見ても必ず心に突き刺さる映画だと思います。


この映画の良かったところ(※ネタバレだらけです)

まずは全体的な話。

<話の構成が美味い>

3つの物語が同時に進んでいき、一見複雑に感じるが実はそうでもありませんでした。

しっかり3つの物語が同時に『起承転結』になっています。

Aの物語を進んでいて、カットが変わったらBの物語が始まっているなど、唐突に始まるのに全くの違和感を感じられない、うまく表せないですがカット割りが上手いと思いました。


<いちいち画が綺麗>

監督がCM出身ということもあるかもしれませんが、ワンカットずつが全部綺麗でした。

特にクライマックスの場面が最高にカッコよかった!


↓リッチがジェイソンに殴りかかってしまうカット

↓デレックがシンディのチャット相手に反撃するカット

↓カイルのボスがニーナを殴るカット

上記の場面は、ハイスピード撮影のためスローモーションになっています。

悲しい曲が流れている中、この映像を見ると登場人物の心情がよく伝わってきます。


<ドキュメンタリーのようなカメラワーク>

この作品の多くは手持ちカメラで撮影をされていると思います。

日本は基本的に三脚を使用して撮影をされますが、海外だと結構主流の手法だと思います。

この映画は非常にドラマ的で、人間の心情が描かれている作品のため、ドキュメンタリーのように自由なカメラワークやピント送りやズームなどをすることにより、臨場感が出るのと登場人物の心情をよく感じ取れます。


<親子愛の話>

これから思春期の子供を育てる人たちにはきっと考えさせられる話でしたね。

リッチとベンは、会話が少なかったことによりベンが心を閉ざしてしまった。

マイクとジェイソンは、厳しすぎる家庭でジェイソンは居心地が悪く父に嫌気をさしていた。

ベンは心を閉ざしてしまっているが、でも決して家族が嫌いなわけではないと感じました。

それを感じたのがこのカット

母はベンの様子がおかしく、ベンに何があったと問いかけます。ベンはそれに対して宿題と答えます。

そして母親が去ってからこの涙。

僕もそうなのですが、親と仲はいいですが心配をかけたくないので、つい平気な顔をしてしまう時があります。本当は助けて欲しいけど心配をかけたくない。この時は本当に辛い。


ベンが自殺を図ってしまいリッチは犯人探しに明け暮れます。それに対して母と姉は「犯人を見つけたところで息子は目覚めない」と言ってできるだけベンの傍にいてあげることにします。この言葉がリッチにとっての重要なことだと思いますね。


その時、マイクはジェイソンによってベンが自殺したことがわかります。マイクはネット犯罪を追う元警察だったため、証拠隠滅をすることは可能であります。マイクはジェイソンに大激怒をしますが、結局自分の息子が一番可愛いためデータを消すことを決意します。


リッチはついにジェイソンの自宅に押しかけますが、マイクが立ちはだかります。マイクはリッチに殴られ、それを見たジェイソンは思わず家を飛び出してきます。

そしてリッチはジェイソンを殴ってしまう、ジェイソンは自分がいま何をしたかに気がつきます。


リッチはやっと大切なことに気づいて、ベンが眠る病院に戻り母とアビーとベンを抱きしめます。


とても複雑ですよね。確かにリッチの気持ちになるとジェイソンを殴りたくなりますが、殴っても息子は帰ってこない。仮にジェイソンを同じ植物人間に合わせてもまた誰か悲しむ人が増えるだけ。ジェイソンを殴ったがベンと重なって罪悪感がわいてしまう。だから今は愛するベンと愛する母とアビーを大切に生きていくことを決める。この決断はとても悲しいことでありますが、これが僕も正解だと思う決断でした。


同時にマイクは息子がとんでもないことを犯したが愛している。だから息子を守る。マイクのこの気持ちは心から愛する人がいる人なら分かることだと思います。マイクとジェイソンの親子愛は一生断ち切れることがないと思いますが、彼らはこれから罪を背負って生きて行くことになると思います。


<夫婦愛の話>

これは何かをきっかけで夫婦の間に隙間ができてしまった人にはとても胸が刺さりますね。

デレックとシンディの間に子供がいたが、若くして亡くなってしまったことによりデレックはショックでシンディと少し距離を置いてしまっています。

シンディが話をかけても仕事と言ってあまり相手にしてもらえない、デレックから電話がきて張り切って電話に出たがクレジットカードが使えないという電話で会話は終わり。

男性はデレックに、女性はシンディに共感できると思いますね。

デレックは子供が亡くなってしまったショックで、悲しい気持ちを忘れたいがために何かに逃げようとしてしまう。シンディはお腹を痛めて産んだ子供がなくなったが、その事実を受け止めている、だがデレックが相手にしてくれない。きっと子供が元気に生きていたらこんなことにはならなかったと思うと悲しい気持ちになります。


そしてシンディはさみしい気持ちになり、チャットを通じて男性に相談をすることでさみしい気持ちを埋めています。だけど、それをきっかけに個人情報が奪われ文無しに。

犯人を見つけるため、ネット犯罪を追う仕事をしているマイクにお願いをする。マイクから奪われた情報を見てショックを受けるデレック。そこにはシンディの寂しい気持ちを訴える文章が。

デレックとシンディは物的証拠を得るため、チャット相手を尾行をして自宅に侵入し領収書などを盗む。まだ証拠が見つからないため、直接相手に聞きだすことにした二人。

自宅に侵入するも、マイクからチャット相手も被害者であり犯人は別にいると言われてしまう。衝撃を受ける二人。そしてシンディはデレックに言う、「お金はどうでもいい、家もいい、一緒に帰ろう」。気づいたらチャット相手に銃を突きつけられてなぜ尾行をするか尋問をされる。だが、元軍人のデレックは反撃し、銃を突きつけて今までの怒りをぶつける。だが彼は犯人でない。シンディはデレックに私が悪かったとささやき、デレックは銃を下ろす。


デレックとシンディは被害者である。だけどそのきっかけは寂しさを埋めるためにチャットをしてしまったシンディ。デレックは寂しい思いをさせてしまったことに気づく。

二人のラストカットのデレックからキスをするシーンは、もう寂しい思いをさせないと言う決意の表れだと思います。親子愛の物語とこの物語にも共通をしているのですが、大切なのは『会話』だと思います。どんなに辛い思いをしても、距離を置いてしまうと寂しい気持ちを生んでしまい、悪い方向に行く一方なのだと。誰かが亡くなってしまったりしても、目の前に愛する人がいるのであれば、その人を一生懸命愛することが大切なのだと思いました。


<世に何かを訴えたい人の話>

映画監督になりたいと思う僕もこのテーマは心に突き刺さります。

一体どっちが人を利用しているの?と言う話だと思います。

物語は児童ポルノ問題を世に伝えようとするニーナは、児童ポルノをするカイルに接触をして、テレビで報道をすることを成功すると言う流れになっています。

一見して、ニーナは善人で児童ポルノをするカイルを救い出そうとする姿に見えるのですが、このニーナはテレビで報道してもらうためにテレビ局のお偉いさんと肉体関係を持ちます。ニーナは、リポーターと言うことを伏せてカイルに直接会いに行き、直接取材を申し込みに行きます。カイルは取材に応じて、テレビに報道をされて成功をします。

テレビ局のお偉いさんは、ニーナにおめでとうと接するが、急にニーナの対応があっさりし始めます。ここまでを見ても、ニーナはテレビ局の偉い人を利用した感じがしますね。


カイルは、プライベートでニーナに会いにきて次第にニーナに恋心を抱いてきます。


テレビを見たFBIは、カイルの情報源が欲しいとニーナの元へ来るが、ニーナは情報提供者を裏切れないと言う。だけど、児童ポルノは犯罪としるニーナは、カイルを無事に保護すると言うことを条件に情報を売ってしまう。


カイルが所属している児童ポルノグループは、居場所が突き止められたため、急いで場所を写すことにする。ニーナはカイルに絶対に安全に保護をするというが、FBIはカイルの安全な保護はどうでもよく、大胆な追跡をする。ニーナはこのままだとカイルが危ないと思い、直接カイルを保護しに行こうと向かいます。

FBIの大胆な行動により、カイルは話が違うことにニーナに少しづつ不信感を抱いて行く。

カイルの元に来たニーナに対して

「荷物をとって戻って来る前に一つ聞きたい、君と一緒に暮らすことはできるか」

と聞く。

ニーナは

「年が違いすぎるかわからない」

と言う。

カイルは

「じゃあ同じ年だったら」

と聞くがニーナは答えられない。

そこでカイルは気づく、自分はただ利用をされていただけなのだと。

カイルは言う

「自分たちの仲間にとんでもないことをしてくれた。自分は利用をされていない。この仕事が好きでやっている。俺は人を人を興奮させる、あんたにできるか」

そしてニーナは自分がとんでもないことをしたことに気づく。


最後のカイルとニーナのやり取りは胸に刺さりますね。

児童ポルノをしている青年は被害者という認識をしていたFBIとニーナですが、本人たちは決してそうではないということを。

ニーナはカイルたちを利用して番組を成功させて喜んでいる偽善者?ということを。

ニーナたちはカイルたちを可哀想な人と勝手に偏見をして差別をしていたのかもしれない。


これは難しい話ですよね、自分たちが訴えたいと思っていることで誰かが傷ついているかもしれないなんて。でも、生まれ育った環境で何が正義で何が悪なのかは人それぞれなのが現実です。このテーマは、一緒悩まされることなのかもしれませんね。



果たしてこれはハッピーエンドなのでしょうか、バッドエンドなのでしょうか。

なんとも言い難いですよね。救いようがあるけど救いようがない感じ、なんか気持ち悪い。

この気持ち悪い感じというのは、きっと今回の物語のように傷ついていった人たちがずっと抱えてることなのかもしれません。僕も過去に傷ついた時に感じた気持ち悪い感じはいまだに残り続けていていつになったなら無くなるのだろうと思います。



これは間違いなく名作ですね。

ぜひ多くの人に見てもらいたい作品です。


次回予告!

さーて、次に紹介する映画は〜

『ヒトラーの忘れ物』

です!


















この映画は戦争に敗れたドイツ兵の少年たちが、ドイツが仕掛けた地雷を回収するというお話です。

ぜひ次もご覧になってください!

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